【読書メモ】悩みどころと逃げどころ ~ 深く考えろ、ダメなら逃げろ ~
#なぜこの本を読んだのか?
ググればわかることを暗記させテストで問う学校はこれからを生きる子供にもまだ必要なのだろうか?
#この本を読んで自分はどう変わったか?
子供を持つ親としてこれから学校に求める役割が明確化できた。学校は子供に現実社会を体験させる舞台装置だ。そこで生きる術を己の思考だけでつかみとるための実験場なのだ。
#印象に残ったこと
序盤にちきりん氏はこう切り出す。
P.18 学校でまじめに勉強した人ほど損をする仕組みじゃないかとさえ感じてます。だって学校って本来「自分のアタマで考える力」を養うところなのに、「とにかくこれをやれ」とか、「先生の言うことさえ聞いておけばいい」みたいに、無思考であることを勧めるんですよ。それって変でしょ。(ちきりん)
私はどちらかというとちきりん的な学生だったのだが、当時学校の敷いたレールに乗ることに疑問を持てなかった。むしろどうしたら学校に応えられるかという思考に埋没していた。そして、学校のテストと関係のない道徳やゆとりの時間に無意味さを感じていた。そんな勉強をしてテストの点がよくなるのかと。
今思えば恥ずかしくもあり、公教育の子供に対する影響力の大きさを思い知らされる。だからこそ自分の子供には早くから与えられた設定そのものに疑問を持つことの重要性を教えたい。ウメハラ氏の父親は息子のウメハラ氏に幼いころから次のような警句を吐いていたそうだ。
P.73 「人の意見を鵜呑みにしていたら、自分の道を切り開けない。必ず自分で考えろ」(ウメハラ)
ウメハラ氏は別の著作でも明らかにしているが前提条件に疑問を持ちこれを破壊し創造する少年だった。
他人から「ウメハラの良さはここ」と言われると、それをことごとく否定し、指摘されたプレイは極力捨てるようにしてきた。
引用元 勝ち続ける意志力 P.56
こうしたストイックな思考は父の教えの賜物であろう。現在はインターネットでノウハウの共有が容易に行われ、いきなり高速道路に乗って目的地付近まで到達できる環境が整えられている。そして高速道路を降りたら大渋滞で前に進むことが難しいという皮肉も。
そんな中、ウメハラ氏は道なき道を独力で切り開き、かなり遠回りしているようだがその過程で体得した知見が前へ進むことを止めさせない。だから高速道路出口の大渋滞を尻目に、独自の道を進むことができる。さらに大渋滞に向かってこっちに来い、共に進もうと誘うのだ。
P.77「僕は自分が発見した技とか有利な戦い方について、他のプレイヤーにも教えてしまうことが多い」(ウメハラ)
ところで、生物の分野で「最少量の法則」という成長に関する法則がある。
最少量の法則とは?
動植物の成長や機能に複数の条件が必要であるとき、いずれか1つでも最低必要量以下であれば、他の条件がどれほど満たされていても順調に機能しない。また、すべてが必要最低量を満たしいているときは、そのうちの最低の条件(限定条件)に支配される。
引用元 文系も知って得する理系の法則
組織に置き換えれば一部のエリートのみで知見を独占するのではなく、その知見を広く公開して組織のボトムアップを目指すほうが、組織全体が強くなるということ。
1841年、科学者のリービッヒによって発表されたこの法則と同じことを会得し実行し結果を出しているウメハラ氏に驚愕だ。
ビジネスでも勝負の世界でも結果=勝利が最重要であり、それを目指してプレイヤー達は突き進んでいるのは確かだがより遠くまで到達するにはどうもその考え方は限界が早く訪れるようだ。むしろ、ライバルに成長してもらいその上を自分が行くことで遅くとも確実に遠くまで行けると示唆している。
学校とは社会でいかに生きるべきかを学ぶところだ。決して学問を修めることに優れた場所ではない。今の社会は学歴による偏見があることは否めないがこの本の著者のような思想の持ち主が社会の価値観を変える日は来るだろう。そして人工知能の進化によって、人間の存在価値を強烈に問われる時代が来る。そのとき、生き残れるのは成長の仕方を知っている者だけだと思う。
最後にこの本で印象に残った言葉を引用しておく
P.66 勝つという結果だけを求めるのは違うというか。本当に大事なのは結果に至るプロセスなんですよ。(ウメハラ)
P.140 「回り道をするなんて無駄!」みたいな考えからの脱却がまず必要になる。(ちきりん)
#まとめ
二歩下がって三歩進む。
考えてダメなら逃げる、というか自分が輝ける別の場所を探す。
そうやって成長すればいいのでは。